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てきとう雑記

子犬の日記

I.CINNAMOROLL(アイシナモロール)である。

シナモロールとはサンリオのキャラクターであり、遠いお空の雲の上で生まれた白いこいぬの男のコである。ならばイヌなのかというと、種族はふわもこ雲族というらしい。ふわもこ雲族のいぬなのである。

キティちゃんの体重りんご3個分と同じく、どことなくふんわりとした言葉が並ぶふわっとしたプロフィールの持ち主だが、2002年にデビューを果たし、サンリオキャラクター大賞では2020年から2023年にかけて1位に輝くイヌキャラクター界におけるスターのひとりなのだ。

ピーナッツと高橋よしひろ以外のイヌ漫画を読まず、スヌーピー銀牙以外のイヌキャラクターを人生に必要としてこなかった人間が何故突然サンリオなのか? 人生に疲れた人間が場末の酒場やら潮騒の町やらに辿り着くアレなのかというとそうでもない。

安田顕とコラボを始めたからだ。

今月から『シナモンと安田顕のゆるドキ☆クッキング』の配信が開始された。

おっとりした物腰でゆるっと料理をつくろうとする安田顕に毎回シナモンがドキッとする調子で絡んでは番組進行を阻む文字通りゆるドキな料理番組である。

この番組を視聴しているファン層は「シナモンかわいい」「ヤスケンかわいい」「子犬に無邪気攻ノリで絡まれて翻弄される安田顕に興奮する」の3種類におおむね大別されると予想される。

そんなエプロン姿の安田顕を弄ぶという一部筋の人間にとっては夢のようなポジションを与えられたのが、アイシナモロールなのだ。

アイシナモロールは、ちょっぴり大人のシナモンとして生み出された新しいシナモンであり、安田顕が出てこない日常を綴ったアニメも存在する。

ご自愛マインドを大切にするこいぬは自然に囲まれて絵を描き、ひとりキャンプでマシュマロBBQをするなど、やたらQOLの高い生活をしている。ふらっと立ち寄った食材店で買い揃えた材料でつくる菓子もホットケーキなどではなくフロランタンだ。

あんなホットケーキをつくりそうな顔して、ホットケーキが出来そうな製菓材を揃えて出てきたのがフロランタンだったので、「フロランタンかぁ〜」と、そのまんまなことを思いながら不意に込み上げてきた何かをぐっと飲み下す羽目になった。

しかし、ちょっぴり大人とはいえまだ幼いイヌの子供が怒り狂った羆と戦ったり犬の抗争に巻き込まれたり、はたまたおひとり様マインドを貫き過ぎて赤木しげると化していく姿を3分弱のアニメで観たいのかと言われたら、そうでもないのでこれはこれでいいのかもしれない。

むしろ観たいのは、番組が進む内にシナモンの安田顕に対する呼び方が「安田さん」から「顕さん」に変わり、「顕さん?」と思わず訊き返して番組進行を止める安田顕の方である。